こんにちは KCです。
アメリカに来て、日本には実にたくさんのパン屋があったということに気づきました。都会でも田舎でも、人気のパン屋さんがあちこちにありました。小麦の味が感じられる素朴なパンも、食パンも、惣菜パンも、とにかく日本のパンが恋しいという方は多いのではないでしょうか。
本を開くと、今にも香ばしいかおりが漂ってきそうなベストセラーを紹介します。
トニーはイタリア、ミラノのはずれにある小さな町のパン屋です。
トニーには夢がありました。いつかミラノに自分の店を開き、北イタリアで一番のパン屋になりたいと思っているのです。
トニーには、目に入れても痛くないほどかわいがっている一人娘セラフィーナがいました。そろそろ結婚を考える年頃になったセラフィーナですが、村には、トニーの目に適う若い男はいませんでした。自由の無いセラフィーナは、ただ部屋の窓際に座り、お菓子を食べ、涙を流すのでした。
ある日、貴族のアンジェロが村を訪ねてきました。風がカーテンをはためかせた時、アンジェロとセラフィーナの目が合いました。そして2人は…恋に落ちたのです。

超過保護で頑固ながら、ミラノ1のパン屋を持つ夢を抱くトニーと、箱入り娘のセラフィーナ、そしてミラノからの貴族アンジェロ。
ストーリー自体は難しくなく、すらすらと読めるのですが、ミラノのきらきらしたベーカリーを巡り、素朴なだけの自分のパンに自信を無くすトニーの姿があったりして、読者の心を揺さぶります。
ベストセラー作家Tomie dePaolaさんはアメリカのコネチカット州生まれ、イタリアとアイルランドをルーツに持つ家族の出身です。おいしそうな挿絵はそんな背景から生まれたのですね。
易しい文体で、幼稚園生の読み聞かせにぴったり。読んだら、ぜひ一緒にパンを焼いて食べましょう。