Coldecott賞作家のコラージュが圧巻『Farmhouse』

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farmhouse 本のご紹介

こんにちは KCです。
たくさんの絵本に出会う中で、表紙の絵に惹かれて作品を手に取ることがよくがあります。挿絵によって、お話がより豊かに彩られるのが好きです。
Coldecott Medal(年に1度、優れた子ども絵本の著者に贈られる)を2度も受賞したSophie Blackallさんは、お話と挿絵両方手掛けることも、絵だけを描かれることもありますが、その緻密さと視点が独特で圧巻。まるで宝探しかのように、隅々まで絵を眺めたくなります。
この方も大好きな作家さんのお一人で、いくつか紹介したい作品もありますので(隣に本が山積みになっています…頑張って早く書きます)、この機会にSophie Blackallさんについて知っていただけたら嬉しいです!

日本国内の方はこちら↓
Farmhouse
Sophie Blackall

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Farmhouse
Sophie Blackall

丘を超え、道が途切れた先、うねうねと流れる小川のほとりに、その家は建っていました。12人の子どもたちと、農場を切り盛りする夫婦が住んでいました。ハイハイをしたり、モデル風にポーズを決めたり、柱に背の高さを記録してもらったり、お芋を彫って壁にスタンプをしたり、時には叱られたり、泣いたり、怒ったり…家族の営みがそこにありました。

夜になると本を読み、ベッドにもぐりこんで、思い思いの夢を見ました。その中には、まだ見たことのない遠い海の夢もありました。
日の出と日の入りの頃には、牛たちの乳搾りの仕事もありました。家族がみんな協力して、子牛を育てたり、牧草を刈ったりして、年月が流れていきました。小川で魚釣りをしたあとは、りんごを収穫してパイにしました。

12人の子どもたちはそれぞれの道を歩みました。あの時ハイハイをしていた赤ちゃんも、すっかりおばあさんになりました。古くなった家をぐるっと見回し、荷物を手にすると、外に出ました。

食欲旺盛なやぎさんに餌やりするニコ

このFarmhouseは、実際にSophie Blackallさんが購入した農場に、ぼろぼろになって残っていた家でした。維持することは出来ず、取り壊すしかなかったのですが、その前にSophie Blackallさんは、中に残っていた家族の写真、服、食器、壁紙、新聞、ありとあらゆる『農家の家族がここで生活を営んでいた』という記録を丁寧に集め、挿絵に使うことにしたのです。
挿絵の壁紙も、フローリングも、窓に掛けられたカーテンも、床に敷かれたラグも、壁にかかった写真も。建物自体は無くなってしまったけれど、Farmhouseは彼女の手によって守られ、美しく残されたのです。

先ほど、あらすじの最後で、おばあさんが家を離れたと書きました。そのおばあさんが、どこへ向かったのか分かった時、胸がぐっと締め付けられるような気持ちになりました。伏線回収とでも言いましょうか。

絵に興味がある方にも、楽しんでいただきたい1冊です。

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