涙を誘う…傷を癒やし合う子犬と男の子の感動物語

犬画像 本のご紹介

こんにちは KCです。2025年最初の英語本は、わんちゃんがテーマの児童書です。
年末に地元の図書館に行ったところ、表紙の挿絵に魅かれて手に取りました。裏表紙には、バイオリンケースとわんちゃん。下手の横好きでバイオリンを弾いているので、それだけでこの本を借りるのに十分でした。

※気分の落ち込みやすい方はここでお止めください。
ブリーダー、動物シェルター、犬への虐待、親との離別などが含まれ
お話です

日本国内の方はこちら↓
The Dog Who Lost His Bark
Eoin Colfer (Author)
P. J. Lynch (Illustrator)

米国内の方はこちら↓
The Dog Who Lost His Bark
Eoin Colfer (Author)
P. J. Lynch (Illustrator)

まず申し上げておきたいのが、この本は悲しいお話です。そして素晴らしい本です。
タイトルと、表紙の絵から、悲しいお話なのだろうという予想はしていましたが、終始、胸をえぐられるような不快感、目を反らしたくなるような悲しい場面、わんちゃんと男の子それぞれが抱える不信感などが巡ります。
冒頭は、ブリーダーの元で生まれたわんちゃんの目線で書かれています。挿絵もわんちゃんから見えている世界が描かれています。その世界は、とても幸せとは言い難いものでした。ここで強い恐怖を覚えトラウマを抱えたわんちゃんは、シェルターに保護され、とある男の子パトリックと運命の出会いをするのです。

その後、物語はパトリックの目線で書かれていきます。夏休みにおじいちゃんの家へ向かうお母さんとパトリック。お父さんはバイオリン弾きで、遠く離れたオーストラリアでのツアーがあるため、一緒に来ることは叶いませんでした。このオーストラリアという地が、後にパトリックがわんちゃんをOZと名付けるきっかけになっています。(オーストラリアのことをOZオーズィー、日本語でオージーと呼ぶことがあります)
パトリックを取り巻く大人たちの、パトリックへの愛を感じる一方で、大人たちの勝手な都合のせいで深い悲しみに沈むパトリックの姿も描かれます。

あまりにリアルで悲しく、読んでいるこちらの気持ちも暗闇に引きずられそうになります。ふと周りを見回せば、今もどこかで、怯えて声もあげられない悲惨な動物たちが居るという現実や、どんなに悲しく苦しくとも、親との離別を受け入れなければならない子どもたちが居るということを知っているからでしょうか。パトリックを襲う悲しみは、彼が受け止めるにはあまりに重く、本を読み終えた後も、彼の苦しい葛藤は続いていくのだろうなと思わされるのです。

暗い紹介文になってしまいましたが、リアリティがあるため、たいへん読み応えのあるお話です。この本をきっかけに、お子さんに、ブリーダーやシェルターのことを知ってもらうのも良いかも知れません。お子さんが読む際には、ぜひ一緒に考える時間をもうけていただきたいと思う作品でした。

タイトルとURLをコピーしました