こんにちは KCです。
【寝た子を起こす(な)】という慣用句があります。
ようやく騒ぎが収まったのに、余計な手出しをして、ふたたび問題を引き起こすたとえ
学研新レインボー小学国語辞典 改訂第6版
今日、紹介する本には、慈善事業、貧困、格差、多様性などが出てくるのですが、出版当時は、子どもがその現実を学ぶにはあまりにも酷であり、差別を意識させるという理由で、閲覧禁止になった地域があります。図書館からも排除されました。(その後、元に戻されたようです)

日本国内の方はこちら↓
Last Stop on Market Street
Matt de la Peña (Author)
Christian Robinson (Illustrator)
米国内の方はこちら↓
Last Stop on Market Street
Matt de la Peña (Author)
Christian Robinson (Illustrator)
とある男の子CJ(シージェイ)は、おばあちゃんと一緒に教会へ通っています。その日は雨で、おばあちゃんの傘の中に一緒に入ってバス停へ向かいました。バス停から、行き交う車を眺めていると、友達のコービーが車の中から手を振っているのが見えました。
『おばあちゃん、どうしてうちは車が無いの?』
バスに乗り込むと、バスは停まったり進んだりを繰り返します。
『どうして僕は、毎週教会のあとにおでかけするの?コービーやミゲルはどこにも行かないんだよ』
途中で目の見えない男性が、白杖と盲導犬と共に乗り込んできました。
『どうしてあの人は見えないの?』
幼いCJには、自分とは違う人々のことが気になるようです。いろいろな人と出会いながら、バスは最終停留所まで、CJとおばあちゃんを届けてくれました。
本の中では『貧困 Poverty』『差別 Discrimination』などの言葉は出てきません。また、Soup Kitchenという場所が出てくるのですが、これは、満足な食事にありつけない人々への慈善事業の場です。
この本のメッセージを、初見で子どもが読み解くのは、とても難しい本だと思います。まずは親御さん、教育者の方々が読んで、内容を理解して、それから子どもたちと一緒に読んでいただくことをおすすめします。
子どもたちに、どのように現実や歴史を教えていくのか、子どもの年齢だけでなく、住んでいる環境や、親や教育者の背景に影響されることもあると思います。これといった明確な教育方法はありません。一生、親も一緒に苦悩しながら、取り組んでいく課題だと思っています。
この作品は、子どもたちが真実を学べる本だとして、多くの賞を受賞しています。
Wikipediaの情報を元に、各賞を簡単に紹介します。大抵の賞は、年に1度選出されます。新人のみに与えられる賞もあります。
- Newbery Medal(2016年)
—米国最初の児童書・絵本向けの賞 - Caldecott Honor(2016年)
‐‐‐Newbery と同様に、その年、最も高い評価を受けた子供向け絵本。Honorは次点に与えられる - Coretta Scott King Honor Book for the illustrator(2016年)
‐‐‐アフリカ系アメリカ人作家・イラストレーターに贈られる賞。Martin Luther King Jrとその妻によって設立され、児童文学分野において、人間の普遍的価値を伝える功績を称えるもの - Charlotte Zolotow Award Honor Book(2016年)
‐‐‐0~7歳までの児童書・絵本に与えられる賞。 - Bank Street Children’s Book Committee’s Best Book of the Year with an “outstanding merit” distinction(2016年)
‐‐‐Bank Street College of Educationが選定する、最も功績を挙げた絵本。この団体の対象は子どもだけではなく、教師、親、教育機関にも良質な教育を提供する - A New York Times Book Review Notable Children’s Book of 2015
‐‐‐言わずと知れた、NYタイムズが選出する、注目すべき影響力のある絵本 - A Wall Street Journal Best Children’s Book of 2015
‐‐‐Wall Street Journalが選ぶ、最も影響力のある優れた絵本